事例:タイはなぜムスリム誘致に成功したのか

政府統計のAFP分析によると、中東とアジアの主要な大多数のイスラム教徒国からの訪問者は2006年の263万人から昨年は630万人に増えた。日本は未だ100万人前後に留まっている。

 

タイが成功している3つの特徴

1.  低所得者から高所得層まで対応したバラエティーに富む滞在方法

一流、老舗のホテルから中流、コストパフォーマンスが高いビジネスホテル、そして最近はサービスアパートメントまで宿泊施設のレンジが多彩で、豊富な点もタイの素晴らしいところだ。特にサービスアパートメントは、長期滞在向けだが、agodaなどで一泊から予約ができ、最近は朝食を出すところも出てきた。団体、FITでも使いやすい形になっている。

また、バンコクやリゾートでは現代アートを随所にちりばめたラグジュアリーホテルも登場し、世界各国からの人気を集めている。

5つ星の高級ホテル件数

日本 28件

タイ 110件

2.  メディカルツーリズム

タイは観光産業がGDPの11%を占め、世界に名だたる観光立国を果たした国の一つです。また国際観光収入は世界第9位で日本の2倍以上の観光収入を得ています。そんなタイが、2006年からもっとも強化したエリアの一つがメディカルツーリズム。

 

タイへのメディカルツーリズム患者数は年間180万名

タイは2015年に180万人もの海外からの患者を受け入れており、その多くが治療後に国内のビーチで休暇を過ごす。バムルンラード病院で治療を受ける外国人患者の3人に1人は湾岸諸国から来タイしている。

ノースカロライナ州チャペルヒルのコンサルティング会社 Patients Beyond Bordersの統計によれば、昨年治療を受けるためにタイを訪れた患者数は130-180万人にのぼった。タイは美容整形や性転換手術で有名だ。最新の政府の推定によればメディカルツーリズムは2014年に1,070億バーツ(30億米ドル)の収益を生み出している。 詳細

 

また国際的に認められた病院数もタイはアジアNO1です(2014年)。

JCI認証済みのタイ国内病院・全リスト(JCI公式ページ、英語)

①タイ:37病院
②中国:33病院
③韓国:30病院
④シンガポール:21病院
⑤インドネシア:18病院
⑥マレーシア:13病院
⑦日本:10病院
⑧フィリピン:6病院
⑨ベトナム:1病院 (データ出所: JCI公式ページ 2014年10月の数字)

 

3. ハラル対応食品

タイ:政府が世界基準のハラル対応を支援

ハラール食品市場の〝ハブ〟を目指すタイでは、昨年一年間のハラール関連食品の輸出額が約2000億バーツと前年比20%の増加となった。
今後5年以内に3000億バーツに引き上げていく計画で、そのための4000万バーツを今年の予算として計上した。
ハラール認証の取得工場を年間百単位で増やしていく予定で、現在約5000社ある認証工場の上積みを目指す。
現状での生産品目は10万種以上に達しているとされており、この大幅積み増しも進める。

タイの最高学府「チュラーロンコーン大学」にはハラール食品などを専門に研究・認証する研究機関「ハラール・サイエンス・センター」が設置されており、ムスリムの研究員らが日々、研究開発に挑んでいる。
ハラール対策が施された食品かどうかを一目で判断できるスマートフォン(多機能携帯電話)向けアプリも開発されており、周辺国の中でも取り組みは群を抜く。

カンボジアでも昨年ごろからハラールに対する関心が高まり、認証を取得する工場が現れた。
国内にはまだ存在しない認証機関も近く設置していく方針で、マレーシアから技術指導も取り付ける計画でいる。
南部の港湾都市シアヌークビルに食肉加工工場を配置し、ここを拠点に輸出を拡大していく将来図を描く。
すでに民間企業の具体的な動きも始まっている。

非イスラム国家で、国内にムスリムがそれぞれ6%と2%しかいないタイやカンボジアでこうした動きが広がっているのは、キリスト教徒に次いで多い人口の急激な増加が背景にある。
世界人口の年平均増加率1.18%に対し、ムスリムのそれは1.84%とひときわ高い。

 

タイは2020年までにハラル食品輸出で世界5位以内を狙う。タイの食品はマレーシアと比較しても安価なものが多く、価格競争でも十分に狙えるポジションにいる。

 

その他参照記事

タイ国政府観光局による観光誘致キャンペーンを読み解く

 

 

 

 

訪日ムスリム旅行者対応のためのアクション・プラン(案)

訪日ムスリム旅行者対応のためのアクション・プラン(案) ~「多様な宗教的、文化的習慣を有する旅行者への受入環境等の充実」 による「世界が訪れたくなる日本」の実現 ~

 

コンテンツ

1.ムスリム旅行者受入の必要性と現状 ・・・P2 (1)ムスリムに関する市場概観 (2)我が国におけるムスリム旅行者受入の取組状況 2.ムスリム旅行者の受入環境整備 ・・・P3 (1)基本的な考え方 ◯ ムスリム旅行者の受入環境整備において留意すべき項目 (2)ムスリム旅行者受入環境整備の主要施策 ◯ 受入環境整備に向けた知識啓発 ◯ 食事環境の整備 ◯ 礼拝環境の整備 ◯ その他個別施策 ◯ ムスリム旅行者への情報提供 3.ムスリム旅行者誘致へのプロモーション ・・・P6 (1)基本的な考え方 (2)ムスリム旅行者増加に向けたプロモーションの主要施策 ◯ 東南アジア市場における取組の深度化 ◯ 中東諸国への取組 ◯ インバウンド拡大につながる発信

 

1.ムスリム旅行者受入の必要性と現状

(1)ムスリムに関する市場概観 2010 年時点でのムスリム人口は世界人口の 23%を占める 16 億人とキリスト教の 21.7 億人に次ぐ規模であり、割合、人数ともに他の宗教に比べ大きな伸びが予想され ている表1。こうしたムスリムの多い国々は今後、生産と消費の急速な拡大が見込まれ る市場表2であることから、食品や金融、旅行等の市場の成長に対する関心が今後世界 的に高まることが見込まれる。 ムスリムによる旅行市場規模(国内・海外)は 2015 年では 1,510 億ドルで世界市場 の 11.2%を占めると推測されているが、2021 年には 2,430 億ドルに拡大すると予想さ れている表3。 このように、我が国においても、ムスリム旅行者は成長余地の大きい貴重な旅行セ グメントであると考えられることから、その拡大のために、受入環境整備を進めるこ とが急務であると同時に、積極的なプロモーションに取り組む必要がある。

3.ムスリム旅行者誘致へのプロモーション

(1)基本的な考え方 旅行博での継続的なプロモーションやファムトリップ等により、日本の魅力発信 を図ってきた結果、インドネシアやマレーシアからの訪日旅行者数は大きく伸びて いる。 – 7 – 今後我が国が特に狙うべきムスリム旅行者のターゲット国としては、経済水準や ムスリム海外旅行者の数、日本へのアクセスの良さ等を総合的に判断して、マレー シア、インドネシアが有力と考えられ、食事や礼拝環境等の情報を積極的に発信 し、我が国が安心して観光できる国であることを発信していく必要がある。さらに 今後は、まだ訪日旅行者数が少ない中東諸国のポテンシャル等についても検討して いく。 ムスリム旅行者はムスリム関連団体(認証機関等)や、友人・知人等の口コミ 等、同じムスリムからの情報を信頼していることが調査からも明らかになっている ため、旅行先としての日本の魅力と、日本の受入環境について、ムスリム関連の媒 体や SNS、ムスリムの有名人等を活用したプロモーションの更なる拡充を図る。

(2)ムスリム旅行者増加に向けたプロモーションの主要施策 ◯ 東南アジア市場における取組の深度化 ・クアラルンプールおよびジャカルタの JNTO 事務所を中心に、ムスリム向け旅 行商品を多数扱っている旅行会社等の現地関係者とのネットワークを強化する とともに、JNTO 公式 WEB サイト、SNS を通して、ムスリム受入環境の更なる情 報発信を実施する。 ・ムスリムが海外旅行検討の際に情報源にしていると考えられるブロガーの招請 や、テレビ、雑誌といったメディアの招請等を通じて、ムスリム対応ができる レストラン情報やモスク等の日本のムスリム受入環境についての情報を旅行者 目線で発信する。 ・ムスリムに対応したホテルや食事施設等をまとめたムスリム向け小冊子 (Welcome Guide for Muslim Visitors)をマレーシア、インドネシアで開催さ れる旅行博等で配布するとともに、JNTO 公式 WEB サイトで公開する。

◯ 中東諸国への取組 ・中東諸国には JNTO 事務所がなく、現地ムスリムの情報収集・現地ムスリムへ の情報発信が十分に行えていない。中東諸国における日本の旅行先としての認 知度、訪日ポテンシャル、訪日に至らない理由等の市場特性を調査し、今後の 訪日プロモーションの基礎資料とする。 ・中東諸国の在外公館等を通じ、現地ムスリムの状況に合った訪日観光情報や日 本の魅力に関する発信を行う。 – 8 – ◯ インバウンド拡大につながる発信 ・クールジャパン機構が支援しているクアラルンプールのジャパンモールや、イ ンドネシア等で日本の放送コンテンツを 24 時間 365 日、現地語で放映中のジャ パンチャンネルを通じて、日本の魅力を発信する。 ・ムスリムの多い国々の在外公館で実施する上映会等の機会に、ムスリム向け日 本観光案内番組をあわせて上映するなど、在外公館等を通じた日本のムスリム 受入環境等の発信を検討する。 ・ムスリムの多い国々に対し、日本のドラマ、アニメ、ドキュメンタリー、映 画、バラエティ等の放送コンテンツを無償提供する際に、日本の各地域の魅力 をあわせて発信することで、訪日の魅力を効果的に発信し、地域発の商品・サ ービスの需要拡大や地方への観光客誘致に繋げる。

詳しくはコチラ

観光戦略実行推進タスクフォース

 

 

 

 

事例:成田空港及びその周辺

成田国際空港のムスリム対応

現在、成田空港には世界34カ国3地域の100都市を繋ぐ、約80社の航空会社が運航しています。その中には中東やアジアなどイスラム圏からの航空会社も多数乗入れており、例えば機内食などムスリムの旅客のニーズに応じ航空会社が対応しています。また、空港の周辺には20軒以上ものホテルがあり、ムスリムのフライトクルーなども滞在することから、成田では開港時からムスリムに対応しているとも言えます。

自社としては、昨今急増するムスリムのお客様に対して、快適に利用いただく環境を整備しており、例えば礼拝室(Prayer Room)を設置するなど行っています。また直近では、ムスリムの方々への理解を空港スタッフにも拡げるためのセミナーを開催したところです。こうした取り組みはバリアフリー同様、ハードルを出来るだけなくすと言う考え方で捉えています。

ハラールフード提供店舗

自家製麺 杵屋麦丸

あげたての味 天亭

ラ・トック

詳しく

ベジタリアンメニュー提供店舗

BAGEL & BAGEL

CAFE&DINING N’s COURT 第1ターミナル店

スープ ストック トーキョー

など 詳しく

ムスリムに向けた空港パンフレット (pdf)

 

成田空港、ムスリム向けサービス拡充 イスラム教圏の観光客誘致 千葉

イスラム教の教義に対応した食事や礼拝スペースをムスリム(イスラム教徒)に提供する取り組みが、成田空港で進められている。ビザの発給要件緩和などで訪日する機会が増えた東南アジアの観光客を呼び込むのが狙いだ。同様の取り組みは国内の他の国際空港でも進められており、誘致競争に打ち勝つためにもサービスの充実が急務となっている。

日本政府観光局によると、人口の約6割をムスリムが占めるマレーシアからの訪日客数は1~4月の4カ月間で、前年比約64%増の約7万7千人。世界最大のムスリム人口を誇るインドネシアからは同比約11%増の約4万5千人だった(いずれもムスリム以外の訪日客を含む)。2020年の東京五輪開催を前に、今後もムスリムの観光客は増えるとみられる。

◆専用キッチンで調理

一方で、これまで国内ではムスリムの食事や礼拝に対応する施設は十分に整備されていなかった。成田空港内に調理工場がある機内食製造会社「ティエフケー」は、マレーシア航空の要望で平成12年にイスラム教の教えに背かない食事「ハラルフード」専用のハラルキッチンを設置し、ムスリムの機内食として提供。注文数はサービス開始当初の約600食から、25年には約1千食まで増えた。

肉類など教義に触れる恐れのある食材は各国の認証機関が認めたものだけを使うのはもちろん、食器からフライパン、冷蔵庫に至るまで専用のものを使用。調理の行程も、ハラルフード以外のメニューとは全く異なる。キッチンの総料理長で同社役員の福本渉さん(58)は「徹底しないと、信頼してもらえない。安心して食べてもらえることが大事だ」と話した。

また、「日本食を食べたい」というムスリムの要望に応えるため、専用のハラルキッチンを備えたセルフ方式のうどん店「杵屋麦丸」と、天ぷら料理店「あげたての味 天亭」が、26日にターミナルビル内にオープン。「ハラル認証レストラン」とし、全メニューをハラルフードとして提供するという。

居住面でもムスリム向けのサービスの充実化が進んでいる。空港内にある成田エアポートレストハウスでは、巡礼の聖地メッカの方位を指す「ギブラシール」が、全209室の天井に貼られている。じゅうたんや帽子など、礼拝に用いる備品の貸し出しも行っており、ムスリムが1日に5回行う礼拝に対応しているという。

◆他の国際空港も

成田空港以外の国際空港でも、ムスリム向けのサービスの整備が急ピッチで進んでいる。福岡空港(福岡市)は4月、礼拝室をターミナル内に設置。関西空港(大阪市)は昨年9月、日本初となる「ムスリム・フレンドリーエアポート」を目指すと発表、ムスリム誘客に力を入れる方針を鮮明にしている。

ハラル・ジャパン協会代表の佐久間朋宏さん(43)は「ムスリム誘客のビジネスが活発になり、選択肢が増えることは観光客の満足度につながる」と期待を寄せ、「設備などの充実だけでなく、ムスリム目線に立ったサービスが大切だ」と話している。

産経ニュースより